2020年7月18日。電脳音楽塾オンラインサロン(以下、サロン)初のコンピレーションCD“GROWING”(grow=成長する)がリリースされた。
早速手に入れて楽しんでいるという読者の皆さんも多いのではないだろうか。
本作はサロンとしてのキャリアのみならず、2015年に音楽プロディーサーINAによって設立された電脳音楽塾(IID 世田谷ものづくり学校に開設、現在はサロンに統合)を通しても初のリリースとなる。
今回は本CD制作にアーティスト、および運営として携わり、電脳音楽塾の様々な企画にも良くも悪くも“イッチョカミ”しながら内側から参加して来た筆者が、その記念すべきリリースに寄せ、表では語られることの少ない、その隠されたストーリーをわずかではあるがご紹介して行こう。
1)この時代に敢えて挑む
読者の皆さんは普段、どのような形で音楽を購入しているだろうか。
音楽関連ニュースを見ても話題になるのは配信数や動画再生回数が中心となる現在、やはりネット配信から購入している人が多いのではないだろうか。
しかし今回、この“GROWING”で最初に発せられた大号令がある。
【“ものづくり”がカタチにならない時代だからこそカタチを残そう】
世の中何でもワンクリックで簡単に購入できる便利な時代になった反面、モノを手にした時の喜びも薄れてしまっているのではないか?
CD離れが口にされて久しく、街にあまた存在したCDショップはその数を減らしつつある現在。
この問いかけは「夢やアイデアをカタチに。」を標榜する電脳音楽塾にとって、避けて通れないテーマであり、立ち返るべき原点でもあった。
2)南の島で生まれた“happy music”
今回のCDはタイトルの通り“GROWING”をテーマとして、全13曲および16ページにも渡るアート・ブックレットから成る、サロンメンバー総出のコンピレーションアルバムだが、実は1曲だけバージョン違いで計2曲収録されている曲がある。
サロンオーナーでもあるINA作曲による“happy music”がそれだ。
バリエーションに富む個性豊かなアーティストが揃う本CDにあって、オープニング(アワード版)とラスト(オリジナル版)を飾るこの曲が形式的にもその中心を貫いていることは明らかだが、実はこの曲はサロンを語る上で欠かせない最もシンボリックな一曲であり、本CDをデビューCDにしてフルタイムベストとして位置付ける、言わばサロン活動の総決算としてまとめ上げる大きな役割を果たしている。
南の島のプールサイドでサロンオーナー・INAの手により産声を上げたこの曲は、講師によるリレー制作企画として2019年1月にサロン内でスタート。
当初から人気コンテンツの一つであったが、最初の転機は2019年6月。
この頃初めてサロンより、今回の“GROWING”に繋がるCD制作企画が発表される。
これを機に、これまで教材的な位置付けにあった“happy music”の歌詞をサロンメンバー全員から公募、それらを繋ぎ合わせて制作されることが合わせて告知された。
こうして、“happy music”は講師からサロンメンバーまで、すべての人を代表する唯一無二のテーマソングとなって行ったのである。
3)DMM「ONLINE SALON AWARD 2019」
さらに、“happy music”にとっても、サロンにとっても大きな転機となった一つとしてDMM「ONLINE SALON AWARD 2019」(以下、アワード)にも触れおかなくてはならない。
本アワードに向け電脳音楽塾オンラインサロンは、電脳音楽塾の活動をパッケージした”happy music“のMVを作成、その最終歌唱シーンを入賞者しか参加できない授賞式で撮り下ろして完成させるという、入賞前提の無謀なプロジェクトでプロジェクト部門に参加。
(なお、授賞式のプレゼンテーションまでが評価の対象となるため、奇抜でありながらもオリジナリティー溢れる電脳音楽塾らしいアイデアであった。)
結果は創設一年目の初参加にして銀賞受賞という快挙であったが、記録以上に輝かしい収穫を呼び寄せることとなる。
一つは“happy music”の真の意味でのテーマソング化。
サロンメンバーにより行われたレコーディング、MVおよび授賞式におけるパフォーマンス、そして何よりその裏で積み重ねられた長い練習の日々は、この“happy music”とサロンメンバーの心の距離を縮めるには十分だった。
まさにサロンメンバーの手により紡がれて来たその歌詞の通り、名実ともに“ぼくらのmusic”へと昇華される。
そしてもう一つ、特筆すべき大きな変化は、このプロジェクトを通してサロンにおけるメンバー間のコミュニケーション、コラボレーションが一気に加速して行ったことだ。
その効果はアワード参加メンバーに留まらず、その他のサロンメンバーにもどんどん広がりを見せる。
アワード参加者は都内に集合できる者に限定されていたが、その後のサロン活動は地理的条件を問わないサロン本来のメリットが最大限に活かされ、今まで上がらなかった声が上がり、あちこちでコラボレーションが自然発生的に続々と誕生する。
時ここに至り、こうしたサロンの機運の高まりが、“GROWING”の制作実現への機運を一気に加速させたと言ってもよい。
ある意味、ここから始まったと言っても過言ではないだろう。
“happy music”が大きなうねりをもたらし、その“happy music”自身が進化し続けることで、まさにサロンが標榜する「ものづくり」の精神を体現して行くこととなった。
4)世田谷ものづくり会議
実は、CDを作って原点に立ち返ろうといったことは最近になって突然言われ出したことではない。
ここまで“happy music”を軸に“GROWING”に至る経緯を語って来たが、本CDを語るにあたり欠かせない、サロンの活動をもう一つ、ここで合わせて紹介しておきたい。
サロンメンバーによる「世田谷ものづくり会議」(現:電脳ものづくり会議)の存在だ。
「みんなの“夢”実現プロジェクト」と銘打たれたこの会議は、サロンが開設されて間もない2019年3月に第一回が開催されている。
サロンメンバーが自身の夢ややってみたいことをプレゼンし、それを真剣に議論して実現を目指すという非常にアグレッシブな場で、実際にサロンメンバーによる創作活動のアウトプットの場の創設や、キッズワークショップの開催、動画チャンネルの設置等、数々の実績を残して来た。
つまり、この会議はサロン活動の第一歩であり、「ものづくり」の原点を真剣に考える場であると言ってよい。
その会議の議事録をめくってみると、第一回にして早くも提案されながら、未だ実現していない重要な“夢”が宣言されていたことに気付くことができる。
「CDの制作(作曲~音源制作~デザインまで)」
「ジャケットなどのアートワークの制作(楽曲とアートワークスのコラボ)」
サロン活動の原点で語られた「ものづくり」の原点に立ち返る夢。
その夢が今こうして“GROWING”へと繋がり、そして遂に、今回カタチとなって私達の目の前に現れることになったのである。
5)続発する化学反応 “GROWING”
さて、ここで“GROWING”に集結した顔ぶれを眺めてみよう。
ソロシンガー、バンドマン、ギタリスト、DTMer、DJ、レコーディング・エンジニア…など、様々な舞台でマルチに活動を行う新鋭アーティスト達が一堂に集結している。
(さらに、アートワークスでは絵画、デジタルアート、フォトグラフ等、同じく多方面のアーティストが参加)
全13曲中、サロン内で組まれたユニットであったり、何らかの形でのコラボ(ブックレット記載のクレジット参照)が行われたものが“happy music”2バージョンを含め8曲。
これに加え、アワード後に作者DJ-INA本人から楽曲データの使用が発案され、サロンメンバーがリミックスを行った1曲を含めると、実に9曲もがサロン内の化学反応を経て生まれて来たことになる。
さらに言えば、まだ着想段階に近い初期の時点で各々のデモ音源がサロン内に公開されている。
そこで交わされた忌憚なき数々の意見を踏まえ各曲はブラッシュアップを重ねられて来ているので、その意味でやはり、全13曲が紛うことなきコラボ作品であり、サロンを代表する楽曲達であると言ってよいだろう。
6)Go back to the origins -原点の持つ圧倒的な強さ-
本CDのタイトルでありテーマでもある“GROWING”。
アーティストによって解釈や切り口は様々であれ、やはり主たるキーワードは「成長」だ。
これから未来に向けて成長を目指すにしても、過去の自身の足跡から成長を振り返るにしても、そのものさしの基準となるべき地点、つまり原点を明確にしておく必要がある。
偶然のように見えるかもしれないが、本CD制作には様々な原点が詰め込まれている。
「夢をカタチにする」ことで語られる、「ものづくり」という電脳音楽塾の原点。
「世田谷ものづくり会議」というサロン活動の原点。
“happy music”というサロン活動が大きく飛躍する原点。
特に“happy music”がまるで成長の過程を示すかのように、2バージョンがCDのオープニングとラストに収録されている点は、実に象徴的だ。
CDラストを飾るオリジナルバージョンは、単に原曲というだけではなく、アワードを経て大幅グレードアップした進化版なのである。
正しく置かれた原点が優れた成長を導くという、原点の持つ圧倒的な力を示す好例だろう。
7)最後に
そして、参加したアーティスト達にとって、この“GROWING”こそがこれからの彼らの原点となって行くはずだ。
このCDは生まれたての子供のように、初めて世界に飛び出した喜びと開放感に満ちている。
この先、自身の成長を振り返る時にはきっとこの“GROWING”に立ち返ることになるだろう。
最後に余談だが、本CDのジャケットを飾る水中写真(作:INA)は、“happy music”が産声を上げたあのプールサイド、まさにそのプールの中で撮影されたものだそうだ。
成長しようとするならば、必然的に原点に帰る。
ジャケットに関してはコンペ形式に近い形を取っていたため、まったくの偶然の産物ではあるが、示唆に富んでいるようで実に興味深い。
この先、この“GROWING”が本CDを手に取ってくださった皆さんの成長に向け、何らかの原点となり、背中を押すお手伝いができるのであれば、制作に関わった人間の一人としてこれに勝る喜びはない。
一人でも多くの方の元に届くよう祈っている。
(結構な限定生産状態なのでお急ぎを!)
各参加アーティストについては、運営アカウントのTwitter(@pinxrecords2)にて短いながらも詳しく紹介されているので、そちらも是非ご参照いただき、各アーティスト達にも直接注目していただきたい。
ご購入は電脳音楽塾オンラインショップ、または各参加アーティストまで。
購入特典として「電脳音楽塾オンラインサロン30日間無料体験(専用QRコード封入)」付き!