前回までのあらすじ
DMMオンラインサロンアワード2019のプロジェクト部門で、INA氏の巧妙な計算通りファイナリストに選出が決まった電脳音楽塾オンラインサロン。
サロンのスレッドで歌唱パフォーマンス希望者を募り、いよいよプロジェクトが本格的に始動するのであった…!
〇〇なデモ音源
さて。レコーディングやMVの話をする前に見逃してはいけないのが、INA氏の作った「デモ音源」である。
演者がステージで歌うhappy musicという楽曲だが…
実はまだこのとき楽曲の歌詞は完成していなかったのである!
今年度、会員達で作ることが決まっているCDに入る予定で、まだ制作途中だった電脳音楽塾のテーマソング。それがhappy? musicだ。
サロンオーナーのINA氏が作った原曲をもとに、サロンの講師であるCUTT先生、SUNAO先生、津田直士先生がリレー形式でアレンジを行い、楽曲が出来上がって行く様子をサロンでライブラリ配信していたものだ。
そしてある日、INA氏がライブラリ配信のコメントで、こんなことを書いた。
(↑謎の愉快な顔文字付きで)
なんとINA氏が会員達から歌詞を募り、組み合わせてゆき、ひとつの楽曲の歌詞にする、というのだ。
なんじゃそりゃ!面白そう!
私もぜひ作詞に参加したい、そう思って歌詞募集のライブラリの動画に飛びついた。
再生すると、男性のボーカリストの声でラップが始まった。
ラップ部分の歌詞は、もうすでにINA氏が作りあげていたのである。
私たちサロン会員が作るのは、メロディ部分。
ちなみに私はこのとき、デモ音源のボーカルは、誰かプロの人に頼んで歌ってもらったのだろうと思い込んでいた。
しかしのちに気づくのだが、このデモ音源を歌った声の主は、他でもないINA氏だったのである…!
私の何となくのイメージだけど『音楽プロデューサー』って、歌わないもんだと勝手に思っていた。
加えて、INA氏と言えばパーカッションやDJ機材などをクールに操るパフォーマーさんというイメージ。
歌う印象がなかった。しかも上手すぎる!!全然気づかなかったのだ!(すみません)
そんなこんなで、そのデモ音源を聴き進めていくわけだが…
ラップが終わり、メロディに入った瞬間
『ぬ?ぬぬぬ!?』
私は異常に反応した。
これは…?
何語…?
歌詞がないメロディに乗せて歌っている言葉が、何なのか、解らない。
ラララ、ナナナ…違う、何か発音している。
でも…日本語ではない。英語でもない。
なんとも言えないニュアンスの歌い回し。
もしかして…適当に歌ってる…?
歌詞に意味はないはずなのに、言葉を紡ぎ本格的に歌っているような耳心地の良い不思議な音…
名付けるなら、これは!
『デタラメ語』だ!
すごい、これがすごい!
まず、楽曲の全体像が、掴みやすい。
言葉はデタラメでも、
ラララ・ナナナや、楽器で鳴らした音よりニュアンスがすごく伝わってくる。
だから、歌詞を当てはめやすい。
歌詞を付けた瞬間、どのような歌い回しになるか、完成形がその場で想像できるのだ!
プロの作る作品というのは本来、完璧に仕上げられた完成形しか聴くことを許されない。
それが今、途中経過の、未完成のモノをこうやって聴いてしまっている…!
((((;゚Д゚)))))))
いいのだろうか!
そしてその途中経過のプロの作品は、私にとって予想外の、奇抜なカタチで表現されていたのである!
まさに興奮の絶頂…
普段見れないモノをコッソリ覗いているような、謎のワクワク感を噛み締めながら、私は歌詞を考えてサロンのスレッドに投稿した。
私が提案した歌詞だが、2番のAメロの部分が採用された。
『Like a boy…ギターに夢描いて
ク・ダ・ラ・ナ・イを本気で
遊び尽くせばホラ』
そう書いて私が投稿した歌詞は、少し改良してもらい
『Like a kids…ガラクタに夢描いて
ク・ダ・ラ・ナ・イを本気で
遊び尽くせばイイじゃん?』
という歌詞になった。
ハヤい・ウマい・マメ の三拍子
会員たちがバラバラに提案した歌詞のパーツ同士を組み合わせて、ひとつの楽曲の歌詞に仕上げたINA氏。すぐに自らそれを歌ってデモ音源を作り、スレッドにアップ。
『第1回目の集合日までに、主メロを歌えるようにしておいてください』とのこと。
…ていうか、いつのまに歌詞作りと、楽曲のアワードverアレンジを済ませたのだろうか…?(・・;)
INA氏は、とにかく行動が早い。
スレッドの日付を見返してみると、それがちょうど12月上旬ごろ
。12月8日には、『hide Birthday Party 2019』が開催され、INA氏もそれに出演されている。
ライブ準備もあり多忙なはずなのに、INA氏は毎日のようにアワードプロジェクトのスレッドに書き込みをしたり、まめに動画や音源をアップしてくれた。
参加メンバーの士気を保つために、毎日何かしらアクションを起こしていてくれたのかもしれない。
12月7日、INA氏はミュージックビデオの大枠となる動画をサロンにアップ。
加えてその日は、本番で使うPA機材の打ち合わせで、メッセージのやりとりは夜の22時台まで続いた。
12月8日hideさんのバースデーライブ当日も、INA氏はいつも通りサロンのスレッドに書き込みをしてくれていた。
12月9日には、練習用カラオケ音源をアップ。
な、なぜそんなに平常運転なのだ…((((;゚Д゚)))))))
ちなみにINA氏は、10月14日の『テレビ朝日開局60周年記念テレビ朝日ドリームフェスティバル2019』で、XJAPANのYOSHIKIさんのサポートのお仕事を終えた翌日の朝9時台にも、スレッドでいつも通りアワードの話を進めていた。
『一原さん、提出してもらったプロジェクトの文章読みました。ここからブラッシュアップしていきましょう』
早速、文章の添削をしようとしてくれていて、しかもこの日はサロン講師の今津先生と一緒に音楽業界の大御所様とのお仕事で外出されていた様子。
いやいやいやいや…!待ってください…
私は、なんだかプロジェクトの件でコメントをいただくことを、申し訳なく思っていた。
このお方には、『ゆっくり休もう』とか、『今日くらいは、すべて忘れよう』とか…そういったお考えはないのでしょうか…σ^_^;
『ものづくりのことを考えない日がない』のでは?
特別な日だからとか、大変な日だったから、というのとは関係なしに…どんなときでもINA氏は常にものづくりをしてきたのかもしれない。
それがプロ…というより、それがINA氏、という言葉が適切だろう。
嬉しい時も悲しい時も、忙しいときも、特別な日も、音楽と向き合う。
INA氏らしい、と私は思った。
『クリエイターになりたい』
そう口では言いながら、なんとなくダラダラと過ごして一日が終わってしまってる…そんな日々を過ごす事が多々ある自分が…恥ずかしく思えたのであった…(ーー;)
不安・反復
歌唱メンバーの第1回目の集合日がやってきた。この日はキー合わせとパート振り分けを行なった。
電脳音楽塾の教室でメンバー同士、顔を合わせた時のことは、なかなか忘れられない。
みんな(私を含め)とんでもなく緊張して不安そうな顔をしていた。
今思い返してみると、笑っちゃうくらい深刻な表情だった。
INA氏が作った曲でINA氏プロデュースのもと、指導をいただき、MVまで作ってもらうという超ゴージャスな境遇だから無理もない。
INA氏は一人一人の声を聞き、適しているパートを振り分けていった。
INA氏の具体的な歌の指導の内容については、また次回書こうと思う。
というか…私たちは上手く歌えるか以前の、基本的な問題にブチ当たっていた。
そもそもフワリを正確に把握できていなかったのである。
【譜割・符割(フワリ)】とは…
各小節にある音符の振り分けのことである。
happy musicは、細かい休符や、しゃくりがたくさんある。素人にとっては覚えるのも歌うのも、めちゃめちゃ難しい曲なのだ…!
私はINA氏にボソっ言った。
『INAさん、この曲難しいですよ…みんな歌えますかね?』
するとINA氏はキョトンとして言った。
『そう?そんなことないでしょ。』
…そんなことアリアリなんですが…(ーー;)
INA氏にとってはこれが当たり前なのであろうか…
私にとっては、息つぎをどこでするのかさえも、わからない曲だった。
そして更なる言葉に衝撃を受けた。
『イントロの部分、一原さんのソロだから。頑張ってね。』
ソ…ソロ…?
!((((;゚Д゚)))))))なにーーーーー!?
まさかの言葉。なぜ!?いったいいつのまにそんなことが決定したのであろうか…?
とにもかくにも、デモを何度も何度も繰り返し聴いて歌った。家の外でも歌った。人混みを避け、マスクをして口元を隠しながらブツブツと小声で歌いながら通勤した。職場の休憩中や、寝てる間でさえもずっと再生していた気がする。
『リーダーの私は、みんなを引っ張って行くことはもちろん、壇上で話すプレゼンテーションのセリフも暗記しなくてはならない。
早く歌を完璧に覚えなきゃ…!』
とにかく焦っていた。
おそらく、私はあの時期メンバーのみんなの何倍もデモを聴きまくっていたという確信がある。そのくらい神経質だった。(ただの空回りだが)
変わらない横顔
そんなこんなでその1週間後、いよいよレコーディングの日を迎えた。
この日は私と、歌唱メンバーのCatherine・G(キャサリン・ジー)さん、2人のレコーディング。私はボーカルディレクションの勉強のため、Catherineさんのレコーディングに立ち会うことを許されていた。
『よろしくお願い致します』
室内はスチームが炊かれ、潤っていて暖かかった。
『今、レコーディングのセッティングしてるから。ウォームアップしといて。』
目線をPCに向けたまま、いつもより淡々とした口調で言い放ったINA氏の表情を見て、私の中に緊張が走った。
なんだこの空気は…!
明らかにINA氏の表情はスイッチが入っているように見えた。
ピリッとした空気の中、私はプレッシャーと同時にそれ以上のワクワク感に襲われていた。
まず最初は、Catherineさんのレコーディング。私は、パソコンと向き合うINA氏の左うしろにそっと座った。操作の様子がよく見える特等席だ。
『Pro Tools』
INA氏が今まさに操作している、レコーディングをするためのパソコンソフトである。
INA氏は長い音楽人生の中で何年もこのPro Toolsシリーズを使ってきたのだ。
『hide with Spread Beaver のピンクスパイダーもこのPro Toolsで編集した』
その言葉を思い出した私は、Pro Toolsを操作するその姿と画面を、この目に焼き付けておこうと思った。
かつて、hide氏の横でパソコンとにらめっこをしていたINA氏。それを擦り切れたビデオテープで画面越しに観ていた私。
時代が変わって、文化が変わっても
変わらない四季のように、ここにも同じ景色があるんだなぁ…。
なーんてしみじみしている余裕はなく!いろいろ濃ゆすぎなアワード・メモリーはまだまだここから!
次回予告
いつのまにか小説化シリーズ
『OL一原のドタバタ音楽日記?アワード編その参?』
テーマは
『ディレクションと演出』
(の予定、たぶん)
次回へつづく・・・・・
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