コラム

ピカピカ音楽会を終えて 〜音楽会ファシリテーターとして獲得したこと〜

ピカピカ音楽会2days無事終了しました。

たくさんのお客さんにピカピカ音楽会に参加していただき、感謝の気持ちでいっぱいです。そして一緒に運営に参加したスタッフの皆さん、本当にお疲れ様でした。
企画から準備、当日の運営まで大変でしたが、終わってみればシェイカーづくりの集客は予定人数の倍という大盛況ぶりで音楽会もとても盛り上がりました。
子供達一人一人の笑顔もとても輝いていて、ピカピカ音楽会を企画運営して本当によかったと思います。

今回、私は音楽会の進行全体の企画と子供達の演奏をサポートするファシリテーターという役割を担当しました。
そのためファシリテーターとしてどのようにイベントに関わってきたのかをコラムにしたいと思います。

今回一番難しかったのは、決断すること

会議メンバーみんなで一つの出し物を作るので、みんなのコンセンサス(意見の一致)を得ることが大切です。
なので会議で出た意見は、ほぼ実行しました。
ドラムサークルが良さそうという話になれば、実際にドラムサークルのイベントに参加してドラムサークルを学びました。
バケツ太鼓がドラムサークルに良さそうとなれば、いろいろな材質や大きさのバケツを用意しました。
それでしっくり来なければ実際にドラムサークルで使用されるジャンベやカホンを用意して会議に持ってきて鳴らして。
子供サイズのミニカホンなども見つけて持ってきてましたね。考えられることは全部実行したように思います。


※実際に使用したのは,シェイカーとバケツ一個,ミニカホンのみ。記念にピカピカくんをキャサリンさんに描いてもらって,みんなにサインしてもらいました。

会議が音楽会に向けた具体的な流れになったのは、製作する楽器がシェイカーに決定した時でした。
会議では太鼓でドラムサークルをやるだろう流れになっていたんだけど、サトタクさんが作ったシェイカーの試作品が素晴らしくて、太鼓ではなくシェイカーでドラムサークルをやることになりました。

サトタクさんが考案したシェイカー

ただ、こうなるともうみんなで太鼓を持って演奏する従来のスタイルのドラムサークルをやっても同じようにはならない訳です。
実際にみんなでシェイカーを好きにふって合わせてみたら、太鼓と違ってリズムの軸ができなくてショボイ感じになって、みんなの頭の上に「これじゃダメじゃない?」という吹き出しがはっきり見えましたね(笑)
でも今すでにあるものをそのまま真似しても、なかなかその場にいるメンバーが共感する形にならないんです。

メンバー一人一人が体験してきたことや共感すること、そしてその場の状況が違う。
この場で求められているものと、すでにある音楽や実践が一致するとは限らないんです。
そこでINAさんから「誰かがリズムキープする必要があるね」っていうアドバイスが出て、「どうする?」って話になりました。
そしてリズムマシーン的なものでリズムキープすると良さそうだねということになりました。

こういう一言がプロミュージシャンであり、塾長であり、会議のファシリテーターであるINAさんの力だと思います。
音楽にする以上は、頭の中でイメージがあってもイメージ通りに音が鳴るわけではないんですね。
音楽は物理的に空気を振動させて表現する芸術です。
その音が説得力のあるものでないと相手には伝わらないので、そういう時にどんな要素が足らないのかをINAさんはいち早く察知して、会議を促してくれました。
時には音楽の要素を超えて心の要素にまで触れていたように思います。
INAさんからはいつもハッ!とさせられるアドバイスをもらえます。
それが何なのか知りたい方は電脳音楽塾で実際に会議やセミナーを受けてハートで感じてくださいね。

この後すぐ、家に帰って会議のアイデアをもとにLaunch Padを使ってリズムキープのパターンを作りました。

Novation Launchpad
ブロックごとに様々なリズムループが入っていて自由に組み合わせたり,エフェクトをかけることができる。

LaunchpadはDJとリズムマシーンの要素を合わせた面白い音楽ソフトです。
このアプリはファシリテーターの役割と相性がよく、音の感じもドラムサークルの要素を満たせるので、子供達が自由にシェイカーを振るイメージが湧きました。
そのため作業はスムーズに進んで、半日で音楽会の実演の流れができました。

そして、5歳の息子と1歳半の娘にお願いして一緒に実演しました。
実演した様子は会議のメンバーとYouTubeで共有して、小さい子供でもできる内容で楽しそうだし良いねということになり、あとは本番まで一直線に進んでいきました。
多分、みんなのコンセンサスを得る形で音楽会の実演ができたんだと思います。

新しい形でのアウトプット「デザイン思考」

今回のことは「デザイン思考」というものが形にできた例だと思います。
デザイン思考の有名な例としてアメリカの大手自動車メーカー、フォードモーターの創設者であるヘンリー・フォードのこんな言葉があります。
”もし私が、人々に何が欲しいかを聞いたならば、彼らは「より早い馬車」と答えただろう。”
馬車で生活していた当時であれば、みんな馬車という枠組みで考えてよりいい馬車を求めるわけですが、デザイン思考というのは、本人も想像していなかったものを、”あなたが求めるものとはこういうものではないですか?”と形にすることです。

以前、津田先生の「”クリエイティブな人生”プロデュース講座【特別編】X JAPAN『紅に染まった夜』から読み取るクリエイティヴな人生」を受けた際に、
「yoshikiは、A案かB案かという時に’C案’を出すのがすごく上手いんだよ。」
と言っていましたが、これもデザイン思考と解釈することができます。
今回の音楽会は、会議を通してデザイン思考的アウトプットができたから実現したんだと思います。

音楽会の最後まで続いたC案作り

実際のkidsワークショップ当日ですが、この時も”C案”を作る作業は続いていました。
リハーサルは、子供不在で大人だけで判断していたので、実際に子供達を交えて音楽会を行うとイメージ通りに進まないことが出てきます。
なので休憩中にそのことをスタッフで話し合って進行に修正を加え、次の回では実践していました。

ピカピカ音楽会は全部で5回実施しているのですが、一度として同じ流れで実施した回はありませんでした。
大まかな流れはあるんですが、ちょっとした子供達への声かけや間の取り方、スタッフの動きも毎回自然と変わっていきました。
最後の頃は、みんなが一つになる雰囲気を高めたいということで、子供達が円になってスタッフが作ったトンネルをくぐるなんてことまでアドリブでやってましたね。
一人で勝手に突拍子がないことをやると変な空気になってしまうこともあるけど、スタッフみんなで子供達を一つにしたいという気持ちが共有できていたので、アドリブでやったこともその場で形になってしまいます。

スタッフの一体感が増していくことで子供達の反応も回を追うごとに良くなっていきました。
その場のアドリブに対する不満もなく、とてもいい形で音楽会を終えることができたと思います。
ちなみに音楽会後、舞台裏で別のアドリブがとり行われ、おかしな世界に迷い込んでいました。

クリエイティブな活動は、人と人との間で生まれる

まとめになりますが、今回のイベントが子供達やスタッフにとって思い出に残るものになったのは、一人の価値観で判断せず、相手の存在を意識してイベントを企画できたからだと思います。

会議でkidsワークショップの案を出していた時、私が”音楽アプリの機能を使ったリズムゲーム”を提案したことがあったのですが、そこでINAさんが”人と機械ではなく、人と人でできるもので”という条件をつけたんです。

電脳音楽塾的には、機械の良さを生かした出し物にしたほうがいい。でも機械と人ではなく、人と人をつなぐために機械の良さを生かすことが大切だとアドバイスをくれました。
それまでの私にとって、クリエイティブというのは、「自分から湧き出てくるイメージを形にすること」でした。
人と機械を掛け合わせたゲームの出し物なら、好き勝手に音が出せて面白いものができるんじゃないかなと思いました。

でも、今回のイベント企画・運営を通してクリエイティブとは「人と人との間(もしくは人と自然などのように異なる二つのものの間)に今までなかったものが作り出されること」に変わったんです。
まさにAとB、二つの間から新しいCを生み出すことでした。

今回、kidsワークショップの企画運営に関わらせていただくことで、クリエイティブな活動をするために大切なことを知ることができました。
塾長のINAさん、一緒にkidsワークショップを企画運営したスタッフの皆さん、そして心からシェイカーを振ってくれた子供達とお家の方々がいたからできたことだったと思います。
この感動的な体験ができたことに心よりお礼を言いたいと思います。本当にありがとうございました。

MATSU

ピカピカ音楽会を盛り上げたピカピカおにーさん(左)とおねーさん(中央)

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